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「チェンジ」できない構造改革主義者(1)

 
 『週刊東洋経済』2月14日号の「特集:世界経済危機」を読み終えました。経済の論客が世界経済危機の特別講義を行うという形で寄稿しています。新聞の見出しでこの講義の第1位と最下位は予想してましたが、予想通りでした。1位は、竹森先生の「サブプライムローン危機の原因と対策は何なのか」です。P61に編集者が書いたと思われる3つのポイントがある。それを引用すると「(1)バブルには経済効率を高める側面もあり、バブル抑制策は難しい。(2)米国の過剰消費か金融規制の欠如か、原因次第で見通しが変わる。(3)世界の低成長回避へ、アジアなど新興国が内需型に転換する必要がある。」です。一番興味があるのは、(2)の経済危機の原因がどちらかです。どちかが正しいのか、これからの歴史と経済学者の分析によって決まるでしょう。

 最下位は池田信夫氏の「絶対絶命の日本経済 結局、処方箋は何なのか」です。新聞の見出しをみただけでもトンデモの臭いがプンプンしてます。読んで見るとこれも予想通りでした。最初に断っておくが、私も長期的な一国の経済成長に生産性の向上が重要であることに異議はない。しかしそれ以外は納得できない主張が続く。90年代前半にTFP(全要素生産性)が低下したというが、その根拠はあまり説得力がないと思われる。池田氏は「90年代に衰退企業から成長産業への生産要素の移動が滞り、バラまき型の公共事業によって非効率的な建設業の労働人口が増えたため、日本の経済成長率が大きく低下したと考えることができる」(P99)と主張する。しかし90年は「金融ビッグバン」など規制緩和が行われ成長産業への移動を推進した事実はあるが、誰かが阻害した事実はない。90年代に建設業の労働人口が増えたから非効率になっているとしても、小泉政権以降公共投資が減り続けて建設業の労働人口が減っているはずだが、それによって生産性が向上したとは思えない。先程の池田氏の主張が説得力のあるものとは思えないのである。
 「米国の80年代が創造的破壊の時代で、日本の80年代以降それがなされなかった」と池田氏は主張しているが、イノベーションや創造的破壊がそう簡単にできればビジネスマンは苦労はしない(笑)。例によってどのように創造的破壊を行えばいいか具体的な提言はなく、無責任だ。
 結論として池田氏は「古い金融システムと一緒に、存在する価値のない「ゾンビ企業」を延命したため日本の潜在生産力が下がった。だから日本経済にとって最大の課題は、もう手詰まりになった財政・金融政策ではなく、日本の長期的な潜在生産力を高める政策である。これについてはマクロ経済政策のような簡単な処方箋はないが、少なくとも言えるのは、金融・労働市場の改革によって生産要素の移動を促進する改革が必要なことだ」(P100)という。この主張に関する感想は、私から言わせれば「長期的には体にいいからといって、高熱で倒れている人に乾布摩擦をすることを勧めるようなもの」だ。
今回の経済危機によってアメリカでもAIGのように「非効率だが大きすぎて潰せない」ゾンビ企業が政府により救済され、大企業でも株式や社債などの市場からの資金調達が困難になり、旧来の銀行融資の依存を高めている。そして今回の危機によって高生産性の製造業が壊滅的なダメージを受けて失業した人が生産性の低いサービス業に移転ぜざるをえず、逆に生産性が減少していることを疑わせる事態になっていることを池田氏は理解していない。不況とは関係なく経済成長によりサービス業中心の第3次産業が増えるのは、どの国にも見られる現象である。
 実際は池田氏の主張と真逆で「マクロ経済政策による不況解消なしは構造改革なし」なのである。このようなトンデモ論文になってしまうのは「池田氏が自分のイデオロギーを優先して現実が見えていない」からであろう。
 まあ、経済論文で久しぶりに笑わせてもらったので、満足できました。

(追記 2009/2/18)
 池田氏が関与しているとは思えないけど添付された写真とその解説も笑えます。例えば「昨年台湾メーカーが100円PCを販売し黒船となった」(P99) とあるが、100円になる理由は差額を国内の通信会社イーモバイルが支払い2年間の継続契約が条件となっているからである。P98~99の写真を見ると正規価格が「44,800円」とか読めるのだが、なぜ気づかなかったのだろうか?
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百おやじ

Author:百おやじ
 男性 仕事はあまりできないが多少の資格はある。
 経済・自作PC関連・メイド喫茶等に興味を持ち、趣味で日本大学通信教育部経済学部を卒業したかなりの変わり者。

 
 
 
 
 
 
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