通貨に関して分かってないと認める人が書く通貨を語るトンデモ本

 
 私はかねてから、浜矩子女史の「1ドル50円時代」の根拠が知りたくて『「通貨」を知れば世界が読める』を購入。内容は期待してなかったが、ひどすぎる。

 はっきり言ってこの本を読む限り「1ドル50円時代」が到来する具体的な根拠は書かれていない。「著者がそう思っているから」という以上書けないのだ。もしかしたら『1ドル50時代を生き抜く日本経済』には書いてあるかも知れないが・・・。しかし、本の副題までなっている「1ドル50円時代」の根拠がないのはすごすぎる。

 予想どおり著者がまともな通貨理論を語ることはない。引用してみよう。
 そもそもなぜ通貨が高くなったり安くなったりするのか?
 一番単純な答えは、「その通貨を持つ国の力」となるだろう。
(P28)
 素人同様単純な考えですね(爆)。では国の力とは何か?
 国力とは何か、という定義は厄介だが、経済学的に発展しており、破綻する心配がない国の通貨の方が、赤字だらけで経済も低迷しているような国の通貨よりも高く評価されるのは理の当然だ。(P42)
 その考え経済学的に間違ってますけど・・・。貨幣の価値が、需要と供給などの経済理論で決まらず、人々の思っている経済イメージで決まると主張するなら「私は経済学者じゃない」と宣言しているようなものですけど、大丈夫ですか?引用を続けよう。
 いや、正確には「かつてそうであった」と言うべきかも知れない。
 なせなら、こういった単純な理屈で説明できない事態が世界中に進行しているからだ。複雑化してしまった国際関係において、様々な思惑が「あるべき場所」に落ち着くことを妨げているのだ。
(P43)
 事態が説明できないのに、著者は自分の考えが根本的に間違っているという発想はないようだ。例えば岩田先生の『デフレと超円高』読めばこういった誤解解けるのに・・・。というか、この本新書であるにしても、巻末にも参考文献一覧すらない。歴史の出来事などを説明する写真はあるが、1つの図すらない。田中先生・上念氏の『震災恐慌!』のような緊急出版の対談本ですら図があるのだが、これでは「著者の思いつくまま書いた」と批判されても仕方がない。

 そもそも「震災後に円高になったのが、今までの概念を変えるような出来事」と本書に書いてあるが、震災前から日本経済が低迷していても円高傾向だった訳で、「今更何を言ってるだ?」という印象しか残らない。
 国際競争力なるもので通貨のことを書く本はいくらでもあるだろう。だが、自分の思っている通貨に関する主張が現実に通用しないことを分かっていながら、『「通貨」が分かれば世界が読める」という本を書く神経が私には理解できないのだ。なにしろ著者自身が世界を読めていないのだから・・・・。 

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今だからこそ必要な提言 田中秀臣・上念司『震災恐慌!』

 
 まだ精読してませんが、ブログ全然更新してないので、とりあえず書いておきます。

 書かれている内容に関しては、異議は一切ない。だが、お二人が本気で対談されているので、リフレ派の主張に関する基礎知識がないと理解するのは大変だろう。ということで、一般的にはちょっと敷居が高いと思っている。まずはリフレ派の入門書(結構あるのでちょっと思いつかないが)を読んでから、震災の経済政策という応用として本書を読めば理解しやすいのではないかと思っている。

 その一方、著者達はTwitter等で積極的に情報を発信しておられるので、著者達がフォローして常時ツイートを読んでいる方は「もう知っている話」と思っている人も多いだろう。

 だが、Twitterの性格上ツイートを長期間保持するのに向かない。そしてネットに接続出来ない人は、Twitterやブログ等からの情報収集ができない。そして今説得をしなくてはいけないのは、有権者数として多く、かつ積極的に投票するのは、中高年の方だ。情報の長期保存とネットが得意でない人々が多い中高年を説得するには、書籍化はいい手段だろう。

 この本がどれだけ社会に影響を与えるのか私には分からない。だが何もしなければ、煽りではなく本書に書かれる「震災恐慌」は現実になりそうなのは、間違いないだろう。そうならないことを祈るばかりである。

 なんか書評っぱくなくなってしまったが、文章力の弱い私にはいつものことですね・・・。と、オチがなく文章を終える。

 
 
 
 
 
 

辛坊治郎・辛坊正記『日本経済の不都合な真実』を読んでがっかりする

 
 辛坊治郎・辛坊正記『日本経済の不都合な真実』を読んでみました。辛坊両氏の重要な主張に関しては、岩田規久男教授の『経済学的思考のすすめ』で専門家から批判しているので、わざわざ私が書く必要はありません。ということで、岩田教授の本と重複しない点を書きたいと思います。

 内容は前の著作読んでいるし、ほとんどがどっかで読んだ話ばかりので展開は予想通り。まあ、私も含め経済に関してオリジナルの考えはなかなか思いつかないので仕方ないでしょう。

 著者は、前の著作を出して「そんな批判もあるのか」と驚いたようですね。例えば、アマゾンにある評価の高いレビューで「辛坊さんは、まず簿記の勉強から始めたほうがいいのでは」という批判に対して、「当方(辛坊兄)は日商簿記一級で管理会計のエキスパートです。」(P3、太字及び赤色は原文のママ)と反論しているが、どっちもどっちですね。日商簿記の試験や管理会計業務にマクロのGDPの計算など必要ありませんから、簿記を知っていてもGDPの計算ができる根拠にはなりません。事実、岩田教授からGDPの計算間違っていると指摘されてます(岩田前掲書。P53~57)し(笑)。

 今回、『日本経済の不都合な真実』を読んで驚いたのが、「貨幣についてまるで分かってないな」ということです。著者は、「政府紙幣も国債の日銀引き受けも、経済活動に裏付けのないお金を刷って政府が物を買う政策です」(P65、太字引用者)という理由で批判しています。だが、著者は「政府紙幣、国債の日銀引き受けによって発行される円かどうか別にして、円自体に経済裏付けなどありませんし、想定すらされていない」ことに気がついていないようです。

 もし著者が、「円に経済的価値が必要」だと主張すれば、金本位制などの商品と貨幣をリンクさせる必要があります。ドルペッグのように他の通貨と一定の交換比率を保つ手段もある(もちろんドルにも経済学的な裏付けはありません)でしょうが、金融政策の独立性を失うことになるので、ギリシャ同様財政赤字が多い日本では困る場合が出てくるでしょうね。日銀が普通に発行されている円が経済的裏付けがあり、政府紙幣や日銀引き受けによって発行された円が経済的裏付けがないとしか私には理解できないのですが、そうなる理由を是非ともお聞きしたいものです(笑)。
 こんな非論理的な理由で専門家でない著者が、金融政策を批判されては非常に困ります。

 他に書きたいこともありますが、今回はこの程度でやめときます。

 
 
 
 
 
 

具体例があるから分かりやすい、岩田規久男『経済学的思考のすすめ』

 
 今月発売された岩田規久男教授の『経済学的思考のすすめ』を読んでみた。岩田教授の経済学入門書は定評があるが、今回もスラスラ読めた。

 本書の特徴は、辛坊治郎・辛坊正記『日本経済の真実―ある日、この国は破産します 』で書かれているシロウト経済学による「経済学を知らない人が陥るよくある誤解」を具体例に挙げながら経済学による正しい説明していくことだ。「こういう間違いに陥らないよう経済学を学ぶ必要がある」ことが痛感した。私も人ごとではないからだ。

 ここまで徹底的かつ痛烈に批判されると辛坊兄弟にとっては、気の毒にも思えるが、あれほどひどい本を出版してしまったのは自らの責任である。まあ、私も辛坊兄弟の内容のひどさに呆れてしまい、このブログで「久々に笑わせてくれたトンデモ本」というタイトルの書評を書いてしまった。

 「今までの経済学入門書だと毒がない」と思われる方には、お勧めの本になるだろう。

 
 
 
 
 
 

AKBの話だけでは済まない『AKBの経済学』

 
 先日『AKBの経済学』が出版されたので、早速購入して読んでみました。ざっと読んだだけなので、とりあえずの感想として書いてみます(これで終わるかも知れませんが)。

 確かにAKBの話が中心になっていますが、比較対象とする「モーニング娘。」や「おニャン子クラブ」などの昔の世代のアイドルグループが出てきます。こういった点では、私のようなオジサンの方が理解しやすい(苦笑)。そしてアイドルだけでなく、サブカルチャー全体の話も出てきます。話は、AKBと大相撲との共通点や、AKBのサプライズと思われるイベントが実は日本的雇用制度が関連するというの話も出てきます。軽そうなタイトルとは違い、予想以上に奥が深い一冊になっています。奥は深いですが、経済学の予備知識がない人でも読める内容になっていると思います。

 経済学や経済学者を毛嫌いしているアキバ系の人にはお勧めの一冊でしょう。ただし、AKBメンバーの評価に対しては、AKBをよく知らない私は判断できませんので、ご意見は著者にでも直接言って下さい(笑)。

 
 
 
 
 
 

上念司『日本は破産しない』宝島社、を読む

 
 上念司『日本は破産しない』宝島社、2010をを読み終えました。

 全体的な感想は、国家破綻論者をバカにする刺激的かつ論点が整理されて読みやすい国家破綻論批判本でした。もちろん国家破綻論者のおバカぶりは知っていますが、上念氏のように整理されると「現状の日本で何で国家破綻などが騒がれているんだ?」と思ってしまいます。
 国家破綻論者は、「このままだと日本が大変なことになる」(それ自体は間違っていない)のですが、その証拠集めがずさんだったりします。なぜなら国家破綻論者は、ミクロ(政府)とマクロ(一国全体)が区別されていなかったり、財政の話自体知らなかったりするのが原因です。そして厳密な定義をした上の話も苦手ですね。そもそも国家破綻って何でしょう?オリジナルの定義を説明無しに使われても、他人には意味がさっぱり分からないです・・・。

 この本では、複式簿記の概念が結構出てきます。流動比率で国の支払い能力があることをたとえるのは驚きました。流動比率が高い以前に日本政府には、政府紙幣の発行権があるので円での支払い能力は企業以上に心配することがないだけどね。収入の面では、国には企業にない徴税権もありますし。
 複式簿記の例がなぜ、「足裏マッサージ店」の経営なのかは謎ですが・・・。私はメイドさんの足裏マッサージ店は好きですが・・・(そんなもん、書評に関係ないわ)。

 「このままだと日本が破綻する」とか考えているお気の毒な人(笑)には是非お勧めしたい一冊です。そして日本を救うのは、財政再建優先でなくリフレであることもしっかり書かれています。

 新たなネタを探すのは大変でしょうが、上念氏の次の著作に期待してしまう私でした。

(追記 2010/10/23)

 著者の上念氏から、この記事に関してTwitterで紹介されてしまった(その1その2)。予想外の高評価なので非常に照れる・・・。「照れるのだったら、わざわざリンクするな」というツッコミはなしでお願いします(笑)。

 
 
 
 
 
 

高橋洋一『絶対よくなる!日本経済』を読む

 
 昨日購入し、すぐに読み終えました。その理由は、高橋先生が最近出版されていた本と内容がほとんど変わっていないからでした。経済問題に対して手っ取り早く答えが欲しい人には最適な一冊でしょう。内容自体は文句なし。

 それ以上言葉が思い浮かばないので、短いですが、これにて終了・・・。

 
 
 
 
 
 

増田明利『今日、ホームレスになった 平成大不況編』を読む

 
 昨日、本屋で衝動買いしました。同じ著者の『今日、ホームレスになった』と『今日、派遣をグビになった』を購入している。本の感想は、『今日、ホームレスになった』はこちら、『今日、派遣をグビになった』はこちらでブログに書いている。

 「経済本書評」のカデゴリにするか少し迷ったが、適切であろう。この本は普通に暮らしている私たちには恐ろしい本とも言える。なにせ、将来ホームレスになるかどうか神のみぞ知るというのが、現状だから。はじめにの一文を引用しよう。著者がなぜホームレスにと聞いたら、ホームレスの1人が「それが分かっていたらこんなことはしてません」と言われてしまった。「いろんなことが重なって絡み合って、やることなすことすべて裏目に出てしまったですよ。何が原因と聞かれても自分でもどれが決定的なことだったのか分からない。」(P4)という。非常に重い言葉だ。そして「おわりに」の一文も引用したい。
 本書で登場するホームレスのほとんどは少し前まで普通の生活を送っていた人たちである。生活基盤が脆弱な人はいるが働く場所があれば普通の暮らしができたはずという人が大半だ。逆に怠け者で、自業自得という人は少ない。
 また、自分が彼らと同じ選択を迫られたとき、おそらく自分もそうするであろうと思ったことも多く、「何でよく考えなかったんだ」とか「もう少し我慢したら」という言葉は無意味だとさえ思うことがあった。
 リストラ、倒産、借金、家庭不和・・・・・・。原因は様々で外的な要因が大きく作用しているのだが誰でも間違えてしまう小さな不注意がきっかけになっていることも多かった。
(P222~223)
 普通に生活していると、ホームレスの人々は別な世界に住む人々だと思ってしまう。彼らを毛嫌いする前に、まず「なぜホームレスになったのか」をこういった本で知ってから批判して欲しいものである。そうでなければ、建設的な話はできないはずだが、人は単純なイメージで物事を語る人が多いから困る。


 
 
 
 
 
 
プロフィール
 

百おやじ

Author:百おやじ
 男性 仕事はあまりできないが多少の資格はある。
 経済・自作PC関連・メイド喫茶等に興味を持ち、趣味で日本大学通信教育部経済学部を卒業したかなりの変わり者。

 
 
 
 
 
 
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